毛量が多すぎるのも悩みなのよ

考察
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崇拝され神と化した私の髪

「なんかさ、華子の頭ってご利益ありそうだよね」
「本当本当!縁起が良さそう」

友人たちの間で私の髪の毛がありがたがれていたのは、私が高校生の頃。
普通の人の優に2〜3倍はあろうかという私の毛量は、ポニーテールにして振り回せば簡易ヌンチャク、はたまたツインテールにして首に巻き付ければ、即席マフラーになるほど凄まじいものだった。

これだけの毛量があると重いし鬱陶しいしで、基本いつも髪の毛は一つに結んでいたんだけど、ある日ちょっとした気分転換からおさげにして学校に行ってみたわけ。
今みたいなお洒落な感じじゃなくて、もう30年くらい前の話だからね、後れ毛のないようにギッチリ堅く編んだ、サザエさんに出てくるダサい女子学生がしていそうな三つ編み。

長さも結構あったため、両手で自分のおさげを掴んでグルグル回しながら、朝教室に入っていたところから”こと”は始まった。

「おはよー」

駆け寄ってくる友人たち。
おさげをグルグルしながら

「おはよー」

と返す私。
高校生とは言えまだ幼心が残っていたのか、動くものに興味を示した友人の一人が私のおさげをグルグルする手にロックオンしまして。
徐に私の手をのけてムンズと三つ編みを掴み、左右にユッサユッサ振りながら彼女はこう発した。

「なんか・・・ありがたい・・・」

友人の突然の行動に私は少し驚きながらも、彼女のその極太の三つ編みを左右に揺らす動作は、確かに何かを連想させた。
ブラーン、ブラーンと私の視界を左右に行き来する三つ編みを見ていると、自分の髪の毛であることを忘れてしまいそう。

何かに似ている・・・
なんだったっけ・・・


あ、神社のガラガラについている紐だ(鈴緒)

私が気がつくのとほぼ同時にゲラゲラ笑いながら拝みだす、その他の友人たち。
「本当だ!神社だ!」
「ご利益ご利益!」

それ以来、テスト前や何かお願い事があるたびにみんなが私のところへ来て、願掛けするようになったのは言うまでもない。

この時は全く気にしていなかったんだけど、それからしばらく美容院で私の多毛のせいで迷惑?騒動?が起きてしまう事が続いてしまった。

美容院でトラブルを起こし続ける私の髪

例えば、縮毛矯正をかけに行ったときのこと。
当時は薬剤をつけた髪を少量ずつ下敷きのような板に貼り付けて熱を加える、みたいな工程が縮毛矯正にあったんだけど、その作業の途中で担当の美容師さんがおろおろし出しちゃって。
小声で他のスタッフさんに

「板・・・板が足りない・・・」
「でももうこれで全部ですよ、どうしよう」

みたいな会話してるわけ。
小声のつもりだったかもしれないけど丸聞こえ。
この時は”うちの毛たちがすみません。私はいいので他のお客さん優先してください”って心底思った。

別の日は美容師さんがブロック分けするために髪に留めていてくれたクリップ、跳ね返したからね。
もちろんノーハンドで。
ナチュラルに毛たちの反発力だけで、挟んでいたクリップをパーーーーンって勢いよく吹っ飛ばしてやった。
超能力さながらのこんな技は初めて見たのであろう、美容師さんの驚いた顔が忘れられない。

後は、髪の毛を切り終わった私の椅子の周りに落ちる毛量が尋常じゃないもんだから、店内のスタッフさんが見に集まっちゃったりとか、まあ、色々。

ある美容師さんのアドバイス

さすがにちょっと対処した方がいいのかしらと、ある日美容師さんに相談してみた。
こんなことやあんな事があって、髪の毛の量が多すぎて困ってるんですー
なんかいいアイディアないですかー

って。

後から考えると、相談する人明らかに違うって見ればわかるでしょって思わなくもないんだけど、見るからにパンクロックが好きそうなファッション&モヒカンヘアの美容師さん、毛量を確かめるように私の髪を持ち上げながらこうアドバイスをしてくれた。

「頭の下半分の毛、短く刈っちゃえばいいんじゃない?そうしたら物理的に毛量半分になるから楽よ?」

自分から相談しておいて”いや、それはちょっと”とか言いづらいし、まだ高校生だったノーと言えない日本人代表みたいな私は、未だ経験した事がなかった”刈る”という行為に不安を覚えながらも

「じゃあ、お願いします」

と頭をパンク美容師さんに預けてしまったのが運の尽き。

忘れえぬ事件勃発

その後数日間は、快適な頭生活を送る事ができた。
パンク姉さんのいう通り重さは半分。髪の毛を結ぶことはできなくなってしまったが、そもそも重さも鬱陶しさも刈り上げることによって解消されたので必要なし。思う存分、おろし髪スタイルを謳歌する事ができ、一瞬でもパンク姉さんに不安を覚えた自分に喝を入れたい気分だった。

しかしそんな極楽も束の間、今でも思い出すと身の置き所がなくなるような悪夢の日は訪れた。

体育の授業の時間。
それまでやっていたバレーボールは前回の授業で終了したから、今日からは新しい課に進むはず。
何をするのか詳しくは聞いていなかったが、先生に倉庫からマットを出しておくように言われていた私たちは、言いつけ通り授業が始まる前に壁沿いに数枚並べておいた。

時間通りに現れた先生の前に体育座りをして指示を待つ、2クラス分の女子生徒。

「はーい、じゃあ今日からはマット運動の授業に入りまーす。
とりあえず最初にみんながどのくらい三点倒立ができるのか時間を測りますので、6人ずつ出席番号順に前に出てきて、そこのマットと壁を使って倒立してください。」

先生の言葉に固まる私。

さん・てん・とう・りつ?
あの、頭を真っ逆さまにしてそのままその姿勢を長い間キープすればするほど良いっていう、あれよね?
前に数人ずつ出ろって、じゃあ残りはどうするの?
やっている人をこのまま体育座りで見てろっていうの?

明らかに取り乱して矢継ぎはやに質問する私を、怪訝そうな面持ちで見る友人。
壁に足ついてもいいらしいし、無理して頑張らなきゃいいじゃん。
成績に直結するわけじゃないし平気平気。

違う・・・嫌なのはそこじゃないのよ
今、頭逆さまにしたら私・・・

トンチンカンな慰めが功を奏して私を落ち着かせるなんてこともなく、アワアワしている間にも無情にも迫りくる私の番。

「はい、次のグループ!」

死刑囚がギロチン台に向かう心境ってこんな感じなんだろうか。
人は死ぬ前に人生が走馬灯のように頭の中を駆け巡るって聞いたけど、私の場合はパンク姉ちゃんの顔がグルグル目の前回ったよね。

チクショウ、お願いしますとか言うんじゃなかった!

覚悟を決めて両手をマットにつく私。
万事休す。もう逃げられない。
倒立前の土下座ポーズというものはこんなにも人を空虚な気持ちにさせるものなのか。

意を決して高足ずつ宙にあげる、それとともにマットに着く私の頭頂部。
それまで肩にかかっていた髪がハラリ、とマットに落ちる。
ああ、なんて清々しいのだろう。
しばらくぶりに首に吹きかかる風は爽快感を通り越し、みんなの視線が今集中しているであろう後頭部に寒気を催させた。
そして一瞬の静寂の後

「華子!頭ー!刈り上がってるー!」

と向こうでゲラゲラ笑う友人たちの声が聞こえたが、もうどうでもいい。
笑うがいいさ、心ゆくまで笑うがいい。
みんなを笑顔にできたなら、それで満足よ・・・

その後、私のあだ名はわかめちゃんになったよね。

終わりに

とまあ、こんな出来事が高校時代あったわけなんだけども、参考までにいうと私は今でも多毛。
何度新しい美容院に行っても
「すごい毛、多いっすね😅」
って未だに言われる。
ある美容師さんは
「人間髪の量はどんどん減って行きますからね、歳をとればちょうど良い量になりますよ」
って慰めてくれたんだけど、きっと私の毛量が人並みになるのは80歳とか90歳くらいの死ぬ直前で、見せる相手も機会もなくなっているでしょうよ。

薄毛は薄毛で辛いかもしれないけど、多毛もそれなりに大変なのよ?ってお話でしたとさ。

私みたいに刈り上げてしまう前に縮毛矯正をかけるか、くせ毛・多毛に特化したヘアトリートメントをお試しになることをお勧めします。


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